ICU礼拝堂に設置されているリーガー社(オーストリア)製オルガン関連のエピソードを、こちらで少しずつご紹介して参ります。
サントリー音楽賞(旧鳥井音楽賞)受賞(1973年)
1970年、ICU礼拝堂にオーストリアのリーガー社製パイプ・オルガンが奉献されました。
本格的な大型パイプ・オルガンは日本ではまだ珍しい時代でした。
キリスト教大学としてその文化の神髄を日本に紹介しようと、その設置に奔走した「ICUオルガン委員会(現宗教音楽センター)」は1973年にサントリー音楽賞(旧鳥井音楽賞)を受賞。その審査員を務めた丹羽正明氏は当時の状況をこう書いています。
「日本の洋楽百年の歩みの中で、パイプ・オルガンの音楽だけは、つい最近まで一般の関心をひくに至らなかった。(中略)我が国のオルガン欠落状態は、いずれは是正されねばならない事柄だったろう」
そんな中、日本でオルガンの新時代を拓いたといわれるICUオルガン委員会の推せん(受賞)理由は以下のとおりでした(抜粋)。
「昭和48年1月、フランスのオルガン音楽の権威マリー・クレール・アラン、及び、オーストリアの大家アントン・ハイラーという二人の国際的オルガニストを講師に招き、「ICUオルガン・アカデミー」を開催し、我が国で最初の試みであるパイプ・オルガンの講習会と連続演奏会を成功させ、受講者並びに聴衆に多大の感銘を与えた。
この企画は、いまようやく黎明期を迎えつつある日本のオルガン音楽の正統的な発展のために、極めて有意義な第一歩であったと認められる。尚、同委員会はその成果をふまえ、その後毎月のようにオルガン演奏会を開催し、オルガン音楽の普及に貢献している」
礼拝堂への奉献から53年。その後もICUリーガーオルガンは歩みを留めることなく、連続オルガン演奏会は2023年春には340回に達しています。(2023年5月)