2021.08.27

オンラインで世界と繋がった夏のサービス・ラーニング

昨年の夏は、国内・海外全てのサービス・ラーニング(SL)・プログラムが中止となりました。今年の夏は、国内はオンラインと対面、国際は全てオンラインでの活動で実施することになり、国内27名、国際20名、計47名の学生が30日間のSLプログラムに参加しました。
 
国内SLはオンラインと対面のミックス形式が増え、長年ICUの受入をしてくださっている機関で、地元の小学生との国際交流、農業生活、途上国の教育支援、平和推進活動等に臨みました。また「自分で探すSL」として、学生自らサービス活動先を開拓し、受入先と交渉しながら活動に臨む学生も多く見られ、北海道から九州まで幅広い地域コミュニティで、社会問題や福祉、環境問題等に取り組みました。さらに、米国ミドルベリー大学との協働プログラム「JSSL(Japan Summer Service-Learning)」では、ICU生が長野県天龍村に滞在し、アメリカやアジアの学生とオンラインで繋がりながら、共にサービス活動をするという、新しい形式の実習を行いました。ICU生は、過疎化が進む村と、都市としての三鷹市について情報発信しながら、「都会と地方」の比較について、海外の学生と共に調査しました。
 
国際SLでは、中国、インド、フィリピンのパートナー団体に加え、今回初となるガーナが加わり、時差の調整やインターネット環境の整備もしながら、世界の国々と繋がりました。障がい者や高齢者施設のオンライン訪問、地元の小学校の子どもたちへの「日本」の紹介、インドのジェンダー問題やカースト制度に関する地元の人々へのインタビュー、ガーナの公衆衛生問題のための調査等、様々な地域社会と関わり合いながら国内外の社会課題について学びを深めました。
 
学生からは以下のような声がありました。
 

フィリピン

・はじめはオンラインでのSL活動に不安もあったが、ICUや東京をライブ中継するなど、オンラインならではの利点を活かして文化交流することができた。
・施設で暮らすエネルギッシュで明るい子供たちと触れ合うことで、世界中の子供たちが輝ける世の中にするために何ができるかを考えるきっかけとなった。
・オンラインで子どもたちとどのように活動するのか、とても不安だったが、想像以上に楽しく、学びに溢れる期間だった。ICU×SU(シリマン大学)チームが結束してオリジナルの授業を作ったこと、これによりServiceを通したLearningが可能になったと思う。

インド

・現地の学校2校に通う子どもたちに対して、オンライン授業を行うサービス活動を実現できたことに感謝している。都市部に暮らさない子どもたちがどこまでオンライン授業に対応できるのか、ネット接続や言語の壁などに対する不安を抱きながら臨んだが、子どもたちの吸収力は高く、想像以上に有意義な時間となった。
・サービス活動では「日本の文化」、「人権と子どもの権利」、「ジェンダー平等」という3つのテーマを扱った。活動前「そもそも日本という国に触れたことがない」、「人権という言葉を知らない」、「ジェンダーという概念を知らない」と言っていたインドの子どもたちが、授業の最終日に「私は子どもの権利について知りました」、「私は女の子も男の子も泣いても良い、感情を出して良いことを学びました」等の言葉を発していた。自分たちの活動意義を実感することができた。
・UCC(ユニオン・クリスチャン大学)の学生:オンラインでの活動だったので、家族も一緒に見ていて、皆ICU生の名前と顔を覚えていた。スナックを一緒に作ったり、もう皆さんも我々の家族の一員だと感じている。

中国

・初のオンラインSLは、手探り状態で参加しながら、現地に行くよりも臨場感や空気感を直接的に味わうことができないことがとても残念に思っていた。しかし、オンライン上でも受入先の人たちや南京の大学生と楽しく交流することができた。英語を使う機会が非常に多くあり、プログラムの最初の方と比べると、話す力、自分の考えを発信する力がかなりついた。
・オンライン上ではあったが、中国の国内事情を知ることもでき、充実したプログラムになったと思う。リモートでの人との関わり方、異文化交流のあり方など、自分なりの答えを見つけられたと思う。

ガーナ

・現地の住民への意識調査では、環境問題への意識は高いにも関わらず、ビーチやラグーンのゴミ問題の対処に困っているという現状に驚いた。これは、SL活動前の自分が持っていた想像が覆され、実際にアンケート調査を行ってみないとわからなかったため、印象に残っている。
・現地の中学生にプレゼンテーションをした際、非常に多くの質問と意見が飛び交い、ガーナの学生たちの学ぶことへの意識の高さに驚いた。
・遠隔にもかかわらず、中学校やコミュニティの人たちとコミュニケーションを取る場や、現地の学生とWhatsAppを通して積極的に話をすることができた。また、オンラインだからこそ、活動中にインターネットで検索して情報を得たり、プレゼンテーションの準備をすることができた。

JSSL

・天龍村の村民の方々がとても親切且つ積極的に関わってくださり、村民の方々の話を通して得られる学びがたくさんあった。村についての歴史、問題については、実際に現地を訪れ、現状を見て、当事者から話を聞くというのは、何物にも代えがたいと思った。
・もともと社会問題に興味、関心があり天龍村を訪れたので、今回実際に訪れて学んだことを卒業論文や今後の学びに活かしていける題材を手に入れられたという点で、非常に有意義だった。
・空き家での生活は、近所の方におすそわけをしてもらったり、地域の一員になれたような感じがすると共に現地での暮らしを体感するにはすごくよかった。ICU生と共にいることで、都度振り返りや感じたことを話せたのもよかった。

コミュニティSL

アジア学院

・大学生の生活は常に何かやらねばならないことに追われている気がしていたが、アジア学院では、時間の流れが違い、非常にシンプルで心地のいい、安心できる場所だった。また「私はありのままでよい」と感じられるような時間でもあった。東京でもこのような時間を作れるようになりたい。
・アジア学院は、体のことや食のこと、環境のこと、働き方など、いろんなバックグラウンドを持った人たちが集まっている場所なので、生きる知恵を知ることもできた。
・コロナ禍において、生身の人間と人間が交流する、衣食住を共にするということがどれほど貴重であるかを再確認した。ここには、いろいろな豊かさがあるように思った。

福祉施設

・障がいをもつ方々とのコミュニケーションについて、最初は不安だったが、目線や動作、声など、言葉や表情以外の手段を使って気持ちを表している利用者の方々とだんだんと気持ちが繋がっていったような気がした。障がいとは何か、共生社会とは何か、生きる意味とは、などについて、現場で働く方々と深く考え、今までの自分の固定観念のようなものを見つけ、疑問を持ったこともとても大きな気づきであった。